バックナンバー 2012 年 8月
現代において愛する二人の前に立ちはだかる障壁は存在するのか
有史以来、愛する二人の前に数々の試練が立ちはだかってきた。ロミオとジュリエットの前に立ちはだかった家門の対立、ロバート・ジョーダンとマリアの前に立ちはだかった戦争、徳兵衛とお初の前に立ちはだかった身分の違い、貫一とお宮の前に立ちはだかった経済的要因。様々な壁が永遠の愛を誓った二人を引き裂いてきた。
月日は流れ現代日本、憲法24条も高々と詠っている『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立』する。そう、いまや合意のみ、家門や身分や戦争や経済的要因は二人にとって何の関係もないのだ。
愛を妨げる障壁は今や絶無となった。現代日本において男と女は自由に理想の相方を求め、巡り会い、そして二人の愛をより強固に高めていくのだ。そして21世紀、愛する二人の楽園ジャパンの誕生!
んっ、あたりを見回してみると、楽園の割には、恋人がいない、結婚してない、独身率が高い、一人が気楽、草食化、三次元の生身の女性は苦手、、、、そしてそれぞれがオタク化した趣味を追い回している、有史以来の楽園なのにこれは有史以来の惨状ではないだろうか!
昨今聞かなくなった言葉に「心中」「駆け落ち」がある。障壁を取り除いたら愛する二人はより幸せになれる?否。二人の間に障壁があるからこそ愛は激しく燃え上がる!これが真実の一面なのではないだろうか。障壁こそが愛を純化させる。
『世界の中心で愛を叫ぶ』を思い出すまでもなく、不治の病が愛する二人を引き裂くドラマが大量生産されている。そう、今の日本には不治の病ぐらいしか愛を純化させる道具が存在しないのだ。
何となく付き合い、そして何となく分かれる。運命的な出会いも、絶望的な障壁も、何もない。出会いも別れもすべて2人の自己責任。自己責任であると同時に全くの自由、というか放任、これが現代日本の恋愛事情だ。
昔が良かったとは決して言わない。
でも自由すぎるのもどうかと思う。
そう言えば昔「自由からの逃走」って本がベストセラーになりましたね。
自由って本当に難しいものです。(裕)
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