いま日本では、これまでの常識では起こるはずのないことが日常的に見受けられる事態となってしまいました。
『無縁社会』の代表的現象、ネットカフェに寝泊まりする若者、孤独死する独居老人、我が子を虐待してしまうお母さん、等々が大きな社会問題になっています。
私は大都市近郊の衛星都市に住んでいます。ネットカフェはこの町にないので知りませんが、孤独死も児童虐待も実際に起こりました。
これらの原因が「格差社会」という言葉に象徴されるような経済問題であるかのようにいわれています。例えば、派遣社員は立場が不安定ですぐ首を切られる、そうするとネットカフェ暮らしになってしまう、というように。しかし私には『無縁社会』の根本的な原因は人と人との結びつき「絆」が弱くなってきていることのように思えるのです。
若者には泊めてもらえる(昔の言葉で「転がり込める」)親や親戚、友達はいないのだろうか?お年寄りには見守ってくれる息子や娘、近隣に住むお友達はいなかったのだろうか?お母さんには相談できる夫、ご両親、育児友達はいなかったのだろうか?
子は親がいるから生まれそして育てられるものですし、友達、教師、近隣の方々と交流し成長していきます。人は人との関係なしに人として暮らしてはいけません。だからこそ「人間」と言うのです。
それなのに普通の日本人が、普通に生きてきているのに、いざという時に頼れるような人間関係が持ち得ていない。それは個々の責任というよりも、現代の日本社会の病理だと思うのです。
いまのマスコミや政府の論調では、これらの問題の対応策として公的機関やNPOによるセーフティーネットの整備が必要だとされています。もちろんこれも大切です。しかし所詮対処療法にしかすぎないように思えます。
根本的な問題は「人と人との絆」の弱体化なのだろうか?
なぜ「人と人との絆」が弱まったのだろうか?
「人と人との絆」を強固にするにはどうすればよいのだろうか?
それらをぼちぼち考えていきたいと思っています。(裕)