友禅染について
友禅染はいくつかありますが、その中でも京友禅はもっとも古い歴史を持っています。
江戸時代の扇面絵師である宮崎友禅斎という人が、隣り合う色が混ざらない様にするために糸目糊(友禅糊)という防染糊を考案し染色を始めたのが友禅の始まりです。
模様のデザイン、下絵、糸目置、色挿し、糊伏せ、地染め、水洗い等約20種の工程があり、専門職がそれぞれ分業で行います。
この中でも友禅の主体となるのが色挿しという作業です。現在では手描友禅と型友禅の2種類の技法があります。
手描友禅について
手描友禅は伸子張りをした布地に下絵を描き、さらに糸目糊を使って下絵の上に模様の輪郭を書いていきます。これが友禅染の一番の特徴で「糸目置」といいます。
この糸目置きをすることで、友禅染が鮮やかな色を何色も使い分けられるのです。
色挿しに用いる染料は約20色あり、これらを調合して何十種類もの友禅独特の色を作り出します。その染料を使って糸目糊で書いた模様の一つ一つに刷毛や筆で色を付けていきます。最初は白、続いて淡い色からだんだんと濃い色へと順番に色を挿していきます。
色挿しが完成すると染料を定着させる為に「蒸し」という作業をし、その後水洗いをします。
これがかつて「友禅流し」と呼ばれていた作業です。
型友禅について
次に型友禅ですが、手描で行う工程を型紙を使って行います。明治時代になって化学染料がヨーロッパから入ってきたのに伴い開発されました。
型紙は柿渋を塗った和紙を貼り合わせた物や樹脂製のシルクスクリーンが使われています。
板張りといって反物が一枚のせられるような長い板の上に布地を貼り、その上に型紙を寸分のくるいのないように印を丁寧に合わせて置き、模様の大きさに合わせて大小様々の刷毛に染料を付けて摺り込んで染めていきます。
これを「摺込友禅」といい、かなり高度な技術を要します。一色ずつ摺り込むので色の数だけ型紙の枚数が必要になり、したがって模様が細かくなるほど型紙の枚数が増えるわけです。一つの柄で30枚もの型紙を使う場合もあるそうです。
このように一枚の着物にはたくさんの職人さんの力と技が、そして着物に対するやさしい気持ちが盛り込まれています。