へそまがり京都案内のバックナンバー「祇園祭 特集号」
今年も京都は祇園祭の季節がやってきました。
祇園祭といえば山鉾巡行ですが、普段山鉾は分解され、
町内会(鉾町といいます)の蔵に大切に保管されています。
そして祭の季節になると古式に則り組み立てます。
今年は岩戸山の山鉾の組立を追ってみました。
一般人にとって祭は道路の通行止めから始まります。
今まで何気なく毎日通っていた路が、交通空間から祭礼空間になります。
車は完全にシャットアウト。歩行者・自転車は遠慮がちに脇を通ります。
幹線道路は大渋滞。それでも誰も文句を言いません。
なんてたって車が生まれる前から、山鉾はこの季節この場所に存在しているのですから。
車が排除された空間では蔵から取り出した組木が並べられ、
ほぞを合わせ組み立てられていきます。
どの木材がどこのパーツか墨書きしてあります。
組立に釘等の金具は使いません。荒縄で縛って固定していきます。
これだけですでに芸術品です。
京都にはこの仕事をする職人さんが存在します。
骨格が組み上がったら、岩戸山の場合、てっぺんに松を取り付け、
90度回転させ山鉾を起こします。
この時みんなでえいえいと綱を引っ張り起こします。
起きると周囲から拍手がわき起こります。
そして屋根を掛け、車輪を取り付け、緞帳等の装飾品で囲みます。
武骨だった山鉾がみるみる雅な風情に変身していきます。
山鉾をじっくり鑑賞するなら、この時がベストです。
最後に提灯で飾り、柵をこしらえ、ちまき売りの出店を設け、雨よけの
ビニールで装飾を覆い(何しろ梅雨時ですので)、完成です。
このころから浴衣姿の見物客で市内は溢れかえります。
こんな風に日常の道路が劇的な祭礼空間に大変身するのです。
あなたもぜひこの劇的空間を訪ねに来て下さいませ。
お待ちしております!