お宮参り初着の身上げ
お宮参り初着は3才並びに体格にもよりますが5才の七五三で再度使っていただくことができます。
お宮参り初着を七五三の着物に用いるためには身上げの加工をする必要があります。基本的に男女ともやり方は同じです。
身上げ加工には「付け袖外し」「袖綴じ」「肩上げ」「腰上げ」「半襟取り付け」の作業があります。
「肩上げ」「腰上げ」は子どもの成長に合わせ、着物を楽に着られるようにする先人の知恵です。
着物の裄(ゆき)を肩山を中心に、前身頃から後ろ身頃にかけて縫いつまみます。着物の丈(たけ)についても、腰のところで縫いつまんで、お子様の身長に合わせて着丈を調整します。
要は、袖は手が隠れてしまわないように、身丈は裾を引きずらないように、体格に合わせて肩と腰の部分をたくし上げて綴じておくのです。洋服のように裾上げをして調節するのではなく、大人の着付けと同じでおはしょりの代わりですので、腰でつまみ上げるわけです。
いずれもやる気があればお母さんの手縫いで十分できます。ぜひチャレンジしてみましょう。
京の初着屋では弊社にてお買上げの初着にかぎり、有料にてこの身上げ加工を承ります。詳しくは注文ページをご覧下さい。
まず襦袢の「付け袖」をはずします
お宮参り初着の襦袢には飾りの袖「付け袖」がついています。
普通、女の子は赤色、男の子は水色で、袖の内側に付いています。
まずこの付け袖を外します。
袖もとの糸を切れば、簡単に外せるようになっているはずです。
次に袖を綴じます
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(1)まず薄目のボール紙で袖の丸みを付けるための型紙を作っておきます。半径6~10cm程度のイチョウ型のものを作ります。
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(2)袖を裏返しにして平になるように置きます。
(3)袖口と袖底を2~3mm残して型紙を当て、丸みの印を付けていきます。
(4)丸みの始まり(A)から袖底の丸みの終わり(B)あたりまで、前袖と後袖を合わせて、丸みの印の上を通って点線のように3~5mmの針目で縫います。 -
(5)袖丸みの縫い目の外側を、木綿糸で2本ぐし縫いしておきます。糸の端の片方は5cm程度残しておきます。
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(6)型紙を縫い目に沿って置き直し、ぐし縫いした縫い代を糸を引っ張って絞りながら、袖の内側にむかって折り込みアイロンで押さえます。
絞った残りの糸端は丸みが崩れないように結んでおきます。 -
(7)表に返して、袖口の明止まりから丸みの所までを表側から3~5mmくらいの針目でくける。
肩上げをします
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肩上げ寸法
きもの裄丈(きものの裄丈)-裄丈(首のつけ根から肩先を通り手首のくるぶしまでの丈)
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肩上げの位置
肩幅の1/2のところを肩あげ山にします。前身頃では肩山から脇の方に1cm斜めに取ります。
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前は肩山ではあげ寸法の半分、袖つけ止まりではそれより1cm少なくとります。
こうすることにより、胸回りにゆとりがでて、衿あわせが良くなります。後ろはあげ寸法の半分を真っ直ぐとります。
腰上げをします
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腰上げ寸法
きもの身丈-着丈(首の後ろの一番上の頸椎から裾までの丈)
袴を着ける場合は着丈を上記より10cmほど短めにすると足さばきが良くなります。腰上げの位置
背中心で[着丈+あげ寸法の1/2]の半分の所を腰上げ山にします。(これが基準ですが、着物と柄のバランスを考えて決めましょう)
前身頃は衿端で後ろ身頃のあげ山の位置より2cm下げます。
あげの深さは後ろ身頃と同じように取ります。
こうすると着た時に衿が後ろに下がって前が上がってしまうのを防ぎ、可愛らしく見えます。
上前身頃は衽(おくみ)の部分で1~2本ひだを取り、衿の方に倒して衿端を揃えます。
下前身頃は揃えずに、衿端から出るあげ代はそのままずれたままにしておき、あげを取ります。
糸は2本どりで縫い初めと縫い終わりは返し縫いをし、2目落とし(表地に細かい目を2つ続けて出す縫い方)で縫います。
半襟を取り付けて完成です
最後に、女児の場合は襦袢の衿部分に半襟を縫いつけ完成です。(男児はあまり付けません)
半襟の準備
- (1)半襟の巾の中心から襦袢の衿巾と同じ寸法で折り目を付けます。
- (2)襦袢の衿の背中中心から付け紐の上までの長さを測ります
- (3)(2)の長さを半襟の中心から測り、残りを裏側に折返ししつけで押さえます。
- (4)左図のようにできあがります。
半襟の取り付け
- (1)半襟の巾の中心から襦袢の衿巾と同じ寸法で折り目を付けます。
- (2)襦袢の衿の背中中心から付け紐の上までの長さを測ります
- (3)(2)の長さを半襟の中心から測り、残りを裏側に折返ししつけで押さえます。